日本の起業を取り巻く環境
日本は主要先進国の中で起業活動があまり活発ではありません。大企業や役所は基本的に生涯雇用を保証し、安定した給与が約束されています。対して、起業は失敗した場合の信用面・財政面での立て直しが困難な上、国内の資本市場が弱いため成功しても米国の場合ほど大きな財産を築くことができません。もともと日本人は欧米諸国の人と比べリスクを回避し安定を好む傾向にありますが、それにしても日本は起業の精神的なハードルが高い環境なのです。
しかし国内が不景気や社会不安に陥ると、大企業や社会保障の問題が注視されるようになります。大企業もいつまで安泰かは誰も知る由がなく、社会保障も高齢化によって医療費ほかさまざまな自己負担額の増大などが予想されます。何も対策をせずに国や大企業に頼り切るというのは今や無防備だと言えるでしょう。そうした背景から男性も女性も自分自身の力で事業にチャレンジし、やりたいことを具現化しようという動きが日本でも出てきました。会社員から起業する人、主婦の起業家と経歴も様々です。
また、最近は事業のスタートアップは国によっても支援されており、このことも起業の動きを後押ししています。安陪政権が進める経済政策、アベノミクスを構成する3本の矢のひとつが「民間の力を引き出す成長戦略」です。ベンチャーの加速はその一環で、具体的には新規企業の開業率を10%台に引き上げるという目標が掲げられ、そのための様々な支援策が実施されています。